預貯金債権(金銭債権)の相続と最高裁大法廷の判断の行方

南越谷法律事務所の弁護士小池智康です。
相当久しぶりのブログ更新ですが、今回は預貯金債権を含む金銭債権に関する最高裁判例についてです。

既に報道等でご存じのかたもいるかと思いますが、金銭債権は相続発生と同時に当然に分割されるか否かが争点とされた事件が最高裁大法廷に回付され、先日弁論期日が行われました。

これを受けて弁護士業界では金銭債権は相続発生と同時に当然に分割されるとの判例が変更されるのではないかと話題になっています。
  
このブログを書いている平成28年11月11日時点では最高裁の判断が示されていないため、今後の実務にどのような影響かがあるのかははっきりしません。

しかし、判例変更の可能性があるということ自体が徐々に実務に影響をあたえています。

例えば、遺産分割調停に先立ち法定相続分で預金を解約しようとしたところ、金融機関から判例変更の可能性があるとのことを理由に解約を断られたことがありました。
このケースは現時点で判例変更されている訳ではないことから、現時点で解約を拒むのは不当だと説明し、最終的には解約に応じてもらいましたが、一般の方が窓口で上記のような対応を受けたら解約をあきらめてしまうのではないでしょうか。その意味では、現時点でも既に実務には影響がでていると思われます。

確かに預貯金が当然分割とされた結果、結論の妥当性に問題が生じるケースがあることは否定できません。

他方で、仮に、法定相続分での解約ができなくなった場合、さまざまな不都合が生じます。例えば、相続人間で紛争化してしまった遺産分割において、預貯金を相続税の納税資金にあてるしかない場合があります。

相続税の納税資金が遺産の預貯金しかないというケースは非常に多くあります。そして、このようなケースで遺産分割協議が揉めてしまった場合でも相続税の申告期限は待ってくれませんので、期限内に納税する必要がありますが、法定相続分での解約ができないと納税ができず、支払う原資は遺産にあるのに、現実の納税資金に使えないということになりかねません。

周りから見れば、遺産分割が済んでから払えばいいじゃない?と気楽に考えることができますが、当事者にとっては相続税の延滞は大問題で非常に大きなプレッシャーになります。そのため、自己資金で納税できる相続人が遺産からしか納税できない相続人にプレッシャーをかけて、自分に有利な遺産分割を強要する、という事態が発生するのではないかと危惧しています。特に、相続税改正により、課税ベースが拡大したことも考慮すると、この弊害はとても大きいのではないでしょうか。

最高裁がどのような判断を下すかは、私には分かりかねますが、上記の弊害が生じないような判断を示して欲しいところです。 

 

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