使途不明金と遺産分割の解決方法

南越谷法律事務所の弁護士小池智康です。

徐々に年の瀬が近付き、次回期日が来年に指定されると、『今年ももうおわりかぁ』と思わずにはいられません。

業界的なものかはわかりませんが、うちの事務所では、年末になると急に相談・依頼が増えるという現象がここ数年続いています。やはり、皆さん、年内に懸案事項に目処をつけたいという気持ちが働くのでしょうか。

今回は、やはり年末に受任し、2年程かけて解決した遺産分割と使途不明金問題をベースにこの種の事件の進め方をご紹介いたします。

相続が発生して、故人の預貯金をしらべたところ、生前に不自然な出金がされていることがあります。例えば、施設に入居しているのに毎月施設の費用とは別に50万円、100万円といった出金がなされているケースや故人の定期預金が解約され現金で出金されているケースなどが典型的な使途不明金です。

このような使途不明金がある場合、この金銭を特定の相続人が取得してしまったとして遺産分割に反映させることを検討しますが、これがなかなかに困難な作業なんです。

使途不明金は、法律的には不当利得返還請求権(又は不法行為に基づく損害賠償請求権)という権利が故人に帰属し、この権利を相続人が行使するということになります。

理屈で言えばこのようなことになるのですが、お金を使われた当の本人はなくなっているので、事実関係をよく知る当事者がいないわけです。これをいいことに使途不明金を発生させた相続人は、故人の生活費に使ったとか本人が現金で保管していたので詳細は知らないとか、色々な弁解をするわけです。
    このような弁解に反論しながら、使途不明金に立証をしていくというのはなかなかに大変です。

    使途不明金問題の難しさは、立証だけではありません。実は、裁判手続の進め方にも難しい問題があります。

    故人の生前に行われた出金は、故人の了承なく費消した場合であれば、不当利得になりますが、贈与を受けたのであれば遺産分割において特別受益の問題になりえます。

    そして、ややこしいのは、不当利得は民事訴訟(地方裁判所)、遺産分割は調停・審判(家庭裁判所)と管轄が別ということです。故人の生前の出金が不当利得になるのか、贈与になるのか、はたまた、それ以外なのかは、裁判所の判断により確定されるため、それ以前の段階では、不当利得、贈与のどちらにもなりうる可能性があるわけです。そこで、どちらに転んでも良いように、手続をとる必要が出てきます。パターンとしては、以下の三つがあり得ます。
①遺産分割調停→不当利得返還請求訴訟
②不当利得返還請求訴訟→遺産分割調停
③遺産分割調停と不当利得返還請求訴訟を同時に進める

どの進め方が良いかは事案による面もありますが、現時点では②が早期、一括解決を実現するという点から優れていると考えています。

遺産分割と使途不明金の問題はなかなかに奥が深いのです。

遺産分割と使途不明金問題でお悩みのかたは遠慮なくご相談ください。

 

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