弁護士間の裁判外の交渉により遺留分を迅速に回収した事例

解決事例ダイジェスト

☑ 遺言公正証書の記載をベースに速やかに遺産を確定

☑ 念のため相続放棄の有無を調査

☑ 代理人同士の裁判外の交渉により迅速に解決

 

事案の概要

(1)相続関係

  • 被相続人:母
  • 相続人:長男、二男(依頼者)、長女の子供2名、二女

(2)遺産の内容

  • 預貯金2口座 約1600万円
  • 土地建物

(3)遺言の有無

  • 遺言公正証書(全財産を二女に相続させるとの内容)

事案の問題点と対応内容

(1)遺産の確定

本件では、依頼者は遺言公正証書に記載されているもの以外には、遺産の内容についての情報がないという状況でした。このような場合、遺言書記載の財産を対象とすると割り切るか、遺言書以外の財産についての調査を行うかという判断が必要になります。

遺産に関する情報がない場合、後者に傾くことも多いのですが、どこまで調査をすれば遺産を完全に把握できたといえるかという点の判断は難しく、遺産探しで迷走してしまうこともあります。

本件では、依頼者としては、被相続人の生活状況を考慮すると、遺言公正証書に記載されたものが遺産のほぼ全てと考えて良いとの判断をしていたことから、早期に遺産の範囲を確定することができました。

(2)遺留分割合の確定

遺留分割合は民法に定めがありますが、理論上、裁判所に相続放棄をした場合は、相続人の人数に変動が生じ、遺留分割合も変わって来ます。実務的には、遺留分を請求しないまま1年が経過すれば遺留分侵害額請求権が時効となり放棄と同じ状態になるため、余り裁判所に相続放棄を申し立てることはありません。また、どうしても「放棄」をしたいのであれば、相続開始後に当事者間で遺留分の放棄をすれば足りるため、わざわざ裁判所に相続放棄の申述を申し立てるまでの必要はありません(あるとすれば事業経営や不動産投資で多額の相続債務がある場合位でしょうか)。

本件では、他の相続人が依頼者に対して『相続放棄をする』という話をしていたという経緯があったことから、念のため裁判所に相続放棄の有無を確認して遺留分割合を確定しました。

(3)不動産評価額

本件の遺産の7~8割近くは不動産が占めており、不動産の評価如何で遺留分侵害額が大きく変動するという状況でした。多くの事案では、遺留分侵害額を下げるために無理に低額の評価が主張され、その結果、不毛に交渉・訴訟が長引くという現象が発生しますが、本件では当事者双方の提示が概ね一致したことから、速やかに不動産評価=遺留分侵害額を確定することができました。

(4)クロージング

本件では、遺留分問題の解決内容を認めた合意書を作成し、この内容に沿った金銭が依頼者に支払われて無事解決となりました。

弁護士小池のコメント

解決までに要した期間は、受任から3ヵ月程度でしたので、かなりの早期解決と言えます。早期解決が実現するか否かは、相手方の対応によるところも大きいのですが、事件処理の方針として早期解決を重視するのであれば、論点の絞り込み、相手方を無用に刺激しないなどの対応も重要になります。

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