被相続人(父)と同居していた相続人(長男)が他の相続人から預貯金を使い込んだとして返還を求められた事例

事案の概要

  • 相続人の一人である長男は被相続人である父が死亡するまで同居しており、平成13年頃から預貯金の管理を行っていました。
  • 平成21年に父が亡くなり、相続が発生した後、他の相続人から使途不明金が4000万円存在するとして、当該相続人の相続分2000万円の返還請求訴訟を起こされました。
  • 訴訟提起後、当職は長男に代理人に就任しました。

事案の問題点

  • この事案では、原告から2000万円の請求がなされていましたが、この請求額は、被相続人の生活費・医療費等を控除しておらず、単純に預貯金の減少額を請求していました。
  • また、原告の請求は時期的にみて、時効にかかるものも含まれていました。

対応内容

  • 当職は、被相続人の医療費等の資料を平成13年から死亡まで精査し、裏付けのある医療費等は請求から控除すべきと主張しました。
  • また、日常的な生活費については、領収書などは存在しませんが、当然に必要な支出ですので生活費も控除すべきと主張しました。この際、厚生労働省が作成している統計資料を参考にして生活費の額を算定しました。
  • さらに、依頼者が被相続人から金銭の提供を受けているのは、理由なく利得しているのではなく、被相続人と依頼者が同居して共同生活を行っていることを背景とした相互扶助義務(ようするに互いに助け合って生活しなさいということです)の履行であると主張しました。
  • 以上の反論を踏まえ、裁判所から和解案が示され、和解金として500万円を支払うことで解決しました。

弁護士小池のコメント

この事案は使途不明金とされた金額が多額であったため、訴訟にまで発展した事案でした。被相続人の生前に了解を得て受け取った金銭でも相続発生後に事情を知らない他の相続人から問題視されることがあります。本事案では、医療費等の支出について詳細な主張・立証をしたこと、被相続人と長男の生活実態を踏まえた生活費・相互扶助義務の主張・立証をしたことが有利な和解に結びついたものと思われます。

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