2枚の紙に記載された遺言の有効性(最判昭和36年6月22日)
最高裁の判断
「遺言書が数葉にわたるときであつても、その数葉が一通の遺言として作成されたものであることが確認されればその一部に日附、署名、捺印が適法になされている限り、右遺言書を有効と認めて差支えないと解するを相当とする。」
相続弁護士のコメント
本件は自筆証書遺言が有効に成立したかが争われた事例です。遺言は2枚の紙に分けて記載されており、この2枚を一体として考えると自筆証書遺言の成立要件を満たす(=有効)という事案でした。
最高裁は、2枚に分かれて記載された遺言が『一通の遺言書』として作成されたことが確認できれば自筆証書遺言として有効と判断しました。複数枚に分かれた遺言が一通の遺言書か否かは裁判所の事実認定の問題であり、個々の事例ごとに判断されることになります。条文の文言上も自筆証書遺言が複数枚の用紙に記載することを禁止する趣旨は窺えませんので、一体と認定できれば遺言を有効とすることが遺言者の最終意思を尊重する観点からも妥当と思われます。