相続と死亡退職金

死亡退職金は、遺産分割の対象になる相続財産に含まれますか

昨年兄が亡くなりました。兄には子供がいなかったので、兄の妻と弟の私が相続人になりました。ところで、兄の妻は、兄の勤務先から2000万円近い退職金を受け取ったそうです。このような退職金は相続財産に含まれるのでしょうか。

死亡退職金が相続財産に含まれるか否かは、死亡退職金の支給規定がある場合は、その規定の趣旨を考慮して決定されます

退職金の支給規定がない場合は、退職金の支給決定がなされた経緯・趣旨を考慮して相続財産に含まれるか否かを決定することになります。

実務上は、死亡退職金の支給の趣旨が遺族の生活保障にあることが多いため、相続財産に含まれないとの処理をすることが多いと思われます。

裁判例では、特殊法人、私立学校の退職金請求権は相続財産に含まれないとされた事例があり、退職金支給規定がない財団法人について、相続財産に含まれないとされた事例があります。

参考裁判例

特殊法人における退職金受給権が相続財産に含まれないとされた事例 最判昭和55年11月27日 民集34巻6号815頁

「職員の退職手当に関する規程」二条・八条は被上告人の職員に関する死亡退職金の支給、受給権者の範囲及び順位を定めているのであるが、右規程によると、死亡退職金の支給を受ける者の第一順位は内縁の配偶者を含む配偶者であつて、配偶者があるときは子は全く支給を受けないこと、直系血族間でも親等の近い父母が孫より先順位となり、嫡出子と非嫡出子が平等に扱われ、父母や養父母については養方が実方に優先すること、死亡した者の収入によつて生計を維持していたか否かにより順位に差異を生ずることなど、受給権者の範囲及び順位につき民法の規定する相続人の順位決定の原則とは著しく異なつた定め方がされているというのであり、これによつてみれば、右規程は、専ら職員の収入に依拠していた遺族の生活保障を目的とし、民法とは別の立場で受給権者を定めたもので、受給権者たる遺族は、相続人としてではなく、右規程の定めにより直接これを自己固有の権利として取得するものと解するのが相当であり、そうすると、右死亡退職金の受給権は相続財産に属さず、受給権者である遺族が存在しない場合に相続財産として他の相続人による相続の対象となるものではないというべきである。

退職金支給規定がない財団法人の退職金受給権が相続財産に含まれないとされた事例 最判昭和62年3月3日

亡D(以下「D」という。)は財団法人E(以下「E」という。)の理事長であつたこと、Dの死亡当時、Eには退職金支給規程ないし死亡功労金支給規程は存在しなかつたこと、Eは、Dの死亡後同人に対する死亡退職金として二〇〇〇万円を支給する旨の決定をしたうえDの妻である被上告人にこれを支払つたことは、原審の適法に確定した事実であるところ、右死亡退職金は、Dの相続財産として相続人の代表者としての被上告人に支給されたものではなく、相続という関係を離れてDの配偶者であつた被上告人個人に対して支給されたものであるとしてDの子である上告人らの請求を棄却すべきものとした原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。
 

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