遺言執行者をサポートしつつ遺産(マンション)の明渡しを実現した事例

記載の解決事例は旧法事例となります。

事案の概要

・被相続人は配偶者、子供がいないため、法定相続人は妹一人だが、被相続人と長年同居している男性がいます。
・遺産は預貯金とマンション一棟(土地建物、自宅を含む)です。
・遺産を妹と妹の夫に2分の1ずつ遺贈するとの遺言公正証書があり、弁護士が遺言執行者に指定されています。
・被相続人の死亡後も同居の男性は遺産であるマンションの自宅部分を占有しています。

事案の問題点

・同居の男性が被相続人の通帳等を事実上管理していたため遺産の内容を把握できていません。
・相続開始当初、遺言執行者の弁護士が同居男性に一定の理解を示した対応をしたことを誤解し、同居男性が占有権原を有するような主張をしていました。
・同居男性から、遺産であるマンションについて内縁関係に基づく共有持分があるとの主張がされており、同人による占有が1年以上続いていました。

対応内容

・当職が相談を受けた時点では、遺言執行者において同居男性の取扱いを検討しているため、遺言執行が進まない状況でした。そこで、当職から、遺言執行者に対して、同居者の占有排除については、当職が建物明渡訴訟を起こして対応するので、マンションの相続登記や預貯金の解約等を進めて欲しいと申し入れて、遺言執行者の負担を軽減しました。
・マンションの相続登記終了後、同居男性を被告として、速やかに建物明渡請求訴訟を提起しました。被告は、無職であり資力はほぼないと思われたことから、賃料相当損害金の回収等よりも早期に明渡しを受けることを主たる目的として進めるべきとの方針で訴訟に臨みました。
・被告からは、遺産に関して、内縁関係に起因する共有持分の存在、同居男性に遺産の全部を遺贈するとの遺言があるなどの主張がなされましたが、合理的な根拠がないことを指摘して被告の主張を排斥しました。
・被告の主張に対する反論を尽くした後、裁判官に和解の申し入れをし、一定額の立退料を支払うことで和解を成立させ、建物の明渡しを受けました。

弁護士小池のコメント

本件は、相続でトラブルが発生することも予想して、遺言公正証書を作成していたにもかかわらず、紛争化してしまった事案です。本件の遺言は、妹とその夫に全ての財産を相続させ、同居の男性は一切財産を承継できない内容だったため、被相続人と夫婦同様の内縁関係にあると考えていた同居男性にとっては全く予想外の内容だったようです。
遺言は相続トラブルの防止には有効ですが、すべてのトラブルを防止することはできません。本件は同居男性と被相続人の関係に関する二人の評価が違ったためにトラブルになったものと言えます。このような場合は、トラブルを完全に回避することは難しいため、事前に預貯金の通帳等を相続人/受遺者に渡しておくなどの相続手続を容易にする方策をとっておくことが望ましかったと言えます。
建物明渡訴訟においては、被告の主張に反論を尽くしたところで、積極的に和解を申し入れて立退料を支払う内容の和解を成立させましたが、この対応の当否は事案や依頼者の意向によりことなると思われます。本件では、同居男性が遺産に対して法律上の権利を有するとは評価できないものの、長年同居してきたという事実は尊重するとの依頼者の意向を踏まえ、立退料を支払うという対応をとりました。和解の条件については、法律上の評価に加え、当事者間の関係性や心情を踏まえて決定すべきですが、本件はその一例であると思われます

 

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