生前贈与と相続人からの買受人の関係

不動産の生前贈与を受けた人と相続人からの買受人のどちらが優先しますか

昨年父がなくなり、私が父の全財産を相続しました。私は、相続した土地Aを友人甲に売却して、所有権移転登記もしました。ところが、昨日、父が生前土地Aを知人乙に生前贈与していたことが判明しました。この場合、甲と乙のどちらが土地Aを取得することになるのでしょうか?

先に所有権移転登記をした甲が土地Aを取得します

相続が開始した場合、相続人は被相続人の財産に属した権利義務を包括して承継することになるところ(民法896条)、ご相談者の父が土地Aについてした生前贈与契約の贈与者としての地位をご相談者が承継したことになります。この結果、ご相談者の方は、甲と乙双方に土地Aを譲渡(生前贈与・売買)したということになり、いわゆる二重譲渡の問題になります。

二重譲渡における優先関係は、先に登記を済ませたものが優先することになりますので(民法177条)、本件でも友人甲が優先することになります。なお、知人乙との関係では、贈与契約が債務不履行になりますので損害賠償責任を追及される恐れがあります(書面によらない贈与であれば、甲への売買契約の締結をもって、贈与を撤回したと評価することが可能と思われます)。

参考裁判例 最判昭和33年10月14日民集12巻14号3111頁

本件土地の元所有者亡Dが本件土地をEに贈与しても、その旨の登記手 続をしない間は完全に排他性ある権利変動を生ぜず、Dも完全な無権利者とはならないのであるから、右Dと法律上同一の地位にあるものといえる相続人Fから本件土地を買い受けその旨の登記を得た被上告人は、民法一七七条にいわゆる第三者に該当するものというべく(大正一四年(オ)三四七号、同一五年二月一日大審院民事聯合部判決、民事判例集五巻四四頁参照)、前記Eから更に本件土地の贈与を受けた上告人Aはその登記がない以上所有権取得を被上告人に対抗できないとした原審の判断は正当であり、所論はこれと反対の立場に立つて右の判断を攻撃するもので、採用できない。なお引用の判例はいずれも本件に適切でない。
 

  • ご家族からのご相談受付中 当事務所では、依頼者となる相続人のご家族向けの法律相談も行っています。相続人ご本人が高齢、多忙などの事情がある場合の初期相談としてご利用ください。なお、案件として受任する場合は、依頼者ご本人とのご面談が必要になります。

  • 周辺士業の方向け無料相談窓口
対応エリア
上記の対応エリアは、当事務所に相続案件を依頼される方が多い地域を参考として表示しています。上記以外のエリアでも対応は可能ですのでお気軽にご相談ください。
また、ご相談・ご依頼される方以外の相続人等が上記エリア外にお住まいの場合でも問題ありません。相手方の住所地・管轄裁判所については、日本全国どこでも対応いたします。

埼玉土地評価コーナー