遺産分割協議と合意解除(再度の遺産分割)

遺産分割協議を共同相続人全員の合意で解除して、再度、遺産分割を行うことはできますか

昨年父が亡くなり、その後遺産分割協議を行いました。その後、事情が変わり、相続人間で話し合った結果、遺産分割をやり直そうということになりました。いったん成立した遺産分割をやり直すことはできるのでしょうか?

共同相続人全員の合意があれば、遺産分割協議の合意解除と再度の遺産分割は可能です。ただし、贈与税等の課税にご注意ください

相続人全員が了承すれば、従前の遺産分割を解除し(合意解除)、再度の遺産分割をすることは可能です。共同相続人全員が了承しているのであれば、当事者の意思の尊重という理念に照らし、再度の遺産分割を禁止する理由はないというのが理由とされています。

もっとも、判例上、債務不履行解除については、法的安定性を理由に否定されていることとの関係をどう考えればいいのかという点が気になります。
債務不履行解除が否定される理由の法的安定性の内実は、主に共同相続人間での法的安定性と解除により遺産が再度共有状態に戻ってしまうという意味での法的安定性があげられています(第三者との関係での法的安定性については、民法545条1項ただし書により保護されるので決定的な理由にはならないと思われます)。

合意解除の場合、共同相続人全員が解除を了承している以上、共同相続人間の法定安定性の問題はありません。遺産が再度共有に戻ってしまう点については、合意解除は通常再度の遺産分割の前提として行われ、両者は事実上一体であることから、この点についても問題はないと思われます。これらの点を踏まえ、遺産分割協議の合意解除(再度の遺産分割)が判例上許容されているものと考えられます。

なお、法律上、再度の遺産分割が可能であることはすでに述べたとおりですが、税務上どのようなリスクがあるかも考慮する必要があります。再度の遺産分割が行われた場合、税務上は、最初の遺産分割を基準に贈与が行われたと評価し、贈与税が発生します。そのため、再度の遺産分割を行う際は、贈与税の試算をし、再度の遺産分割必要性と贈与税負担のバランスを検討するといいでしょう。

参考裁判例等 最判昭和53年2月17日民集44巻6号995頁

共同相続人の全員が、既に成立している遺産分割協議の全部又は一部を合意により解除した上、改めて遺産分割協議をすることは、法律上、当然には妨げられるものではなく、上告人が主張する遺産分割協議の修正も、右のような共同相続人全員による遺産分割協議の合意解除と再分割協議を指すものと解されるから、原判決がこれを許されないものとして右主張自体を失当とした点は、法令の解釈を誤ったものといわざるを得ない。

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